フィリピンが高度経済成長期突入
「フィリピン」と聞くとどんなイメージを描いているでしょうか。
発展途上国や、なんとなく治安の悪さなどを想像される方も多いかと思います。
一部セブ島などはリゾートの印象も強いかもしれませんね。
そのフィリピンが今、アジア諸国の中でも、トップクラスの経済成長率をみせており、高度経済成長期に入ったといわれています。
※与沢翼さんのtwitterでもフィリピンのことをツイートされてましたのでお借りいたしました。
フィリピンは10年置いたらこれから相当すごい国になるだろう。これは海外を色々見た結果の勘。マレーシアタイ超えるかも。ただマレーシアタイにもたくさん投資してるので3国に頑張ってもらおう。ASEANでは、結局、鉄板のマレーシアタイフィリピン3国が今後も最強だと思う。ベトナムだけ気になるが pic.twitter.com/7qgQnw9Hys
— 与沢 翼 – YOZAWA TSUBASA (@tsubasa_yozawa) April 7, 2018
高度経済成長期といえば・・・
日本では第二次世界大戦が終戦をむかえて10年ほど経った1955年。
朝鮮戦争特需から戦前の経済水準を上回り、そこから18年間は年間10%以上の経済成長を達成。
これが、日本の高度経済成長期でした。
大きく成長を果たしたその後は、成長の波が緩やかになり経済は安定。
つまり、フィリピンでアクションを起こせる絶好のチャンスは、この機会ということです。
フィリピンの経済
独裁者ともいわれるマルコス政権により政治的混迷や内乱がうまれ、さらに1980年代前半、オイルショックの影響を大きくうけることで、1990年代まではASEANの中で最下位の経済成長率でした。
その後、前大統領であるアキノ政権のころからフィリピン経済は持ち直し、現在世界でも有数の高い経済成長率をたたき出しています。
2017年度、ついにフィリピンのGDPは3000ドルを超えました。1972年の日本と同じ数字です。
一般的に、3000ドルを超えると近代化を迎えたといわれ、家電製品の浸透が加速、5000ドルを超えると、自動車が普及するようになる、といわれています。日本は1976年に5000ドルを突破。たった3~4年の間でした。
日本の高度経済成長
当時日本でおこったことを振り返ってみましょう。
・三種の神器「冷蔵庫・洗濯機・テレビ」が家庭に広まり、暮らしが便利になっていく
・コカ・コーラ、インスタントラーメンなど食文化も変化
・石原裕次郎、長嶋茂雄世代。テレビの受信契約が100万そして1000万件を超える
・東京タワー完成
・五千円札、一万円札が発行
・1960年、カラーテレビ放送開始
・東海道新幹線開通
・東京オリンピック開幕
・1969年、日本のGDPが世界2位へ
この短期間で、目まぐるしく国民の生活水準が変化していったことがお分かりかと思います。
当時の先進国基準での最先端テクノロジーに日本が追いついた時代でした。
物価水準について、公務員の初任給で比較すると、
1965年頃の公務員の大卒初任給が3万円程度、15年後の1980年には10万円程度、
1990年には15万円程度と明らかに経済水準に変化が表れています。
フィリピン経済が成長している大きな理由2つ
その1. フィリピンの国際力
フィリピンに英語留学にいく、そんな知人が周りにいる方も多いのではないでしょうか。
あまり一般的にはイメージされておりませんが、実は、フィリピンの英語力は世界から大きな評価を得ています。
2012年に行われたGlobal English社(米国)の調査によると、フィリピン人のビジネス英語運用能力は、なんとアメリカを抜いて世界第1位でした。
フィリピンはもともと多言語国家であり、160もの言語があるといわれています。現在の公用語は英語とフィリピン語。学校でもこの2言語で教育されます。幼いころから徹底的に学ぶことで、当たり前のように英語を使えるようになるそう。フィリピン政府が海外労働を推奨していることもあり、将来のためにと熱心に英語に向き合います。よって、フィリピンの英語力は高い水準で保たれ、今後、さらなる経済成長への影響も期待できます。
この国際力によって、在外フィリピン労働者(OFW)からの送金 と 英語力からなるBPO産業の発展 が経済成長に大きく影響を与えています。
OFW(Oversea Filipino Worker)とは海外へ出稼ぎに行っているフィリピン人を指します。近年日本でもよく見かけますね。日頃から数か国語扱う文化が、彼らの言語習得により有利にはたらくのでしょう。物価が圧倒的に違うため、国内での収入とは大きく違ってきます。当然家族に送金すれば、世帯収入の増加につながります。フィリピンでは年間100万人をこえる労働者が海外に出国しており、現在海外で働いている人数の総数は800万人を超えているとも言われています。人口率にして、11人に1人程度の割合です。かなりの割合のように感じますね。それだけの人数が、物価の高い先進国で働いているのですから、経済成長に大きな影響を与えているのも納得です。
BPO(Business Process Outsourcing)とは、アメリカやアジアを中心として、さまざまな企業がフィリピンの企業に対して業務をアウトソースすることです。システムの開発やコールセンターなど、内容は多岐にわたります。コールセンターに関しては、BPOの部門で世界第1位。BPO産業全体で見ても、これまでインドが独占状態でしたが世界2位まで追い上げてきました。持ち前の国際力により、海外からの信用も得られてきたということになります。
その2.フィリピンの人口と労働力
フィリピンの人口は、JETROによると2014年に1億人を突破。世界水準でみても人口は12位と、かなり上位のところまで来ています。ASEAN全体の成長率も注目されていますが、フィリピンはさらに格別で出生率も3.08人とASEAN諸国でも第1位を誇ります。
日本の人口ピラミッドは今や「つぼ型」と称されるのに対し、フィリピンは綺麗な「ピラミッド型」。つまり若い世代の広い土台で構成されています。
経済成長において、それを支える労働力は重要な観点ですが、現在平均年齢は約23歳と若く、さらにフィリピンの人口は先60年増加するといわれています。2050年には1億7000万人に達すると予測されており、安定的な労働力の確保が見込まれています。
他ASEANと比較すると、2090年代にはタイ、マレーシアなどが高齢化社会に突入すると言われ、フィリピンはそれでもなお人口数は右肩上がり、ピラミッド型を保てると考えられています。
(国連「World Population Prosepects:The 2012 Revision」より)日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H0D_X20C14A7FF8000/
高度経済成長を語るときに、よく持ち出されるのが「人口ボーナス期」。
人口ボーナスとは、子供や高齢者と比較し、生産年齢人口の割合が高いことを指します。
これがフィリピンでは2050年まで続くと言われています。
「高度経済成長」と、直近でみても大きな成長が予測できますが、長期的目線でみてもより安定した成長が期待できそうです。
いかがでしたでしょうか。
このように、フィリピンは今、高度経済成長期を迎えていることを説明させていただきました。
しかしながら、日本の高度経済成長と違うのは、当時と現在とでは、テクノロジーの進化により比べ物にならないインフラがあるということです。
電話、メール、そしてインターネットとビジネスのスピードは猛烈に加速しました。
同時に情報量も膨大になり、誰もが得たい情報を即座に得られるようになりました。
おおよそ50年前の日本の高度経済成長期とは、加速度が違うことも想像がつきます。
ぜひ、このタイミングでフィリピンの成長に注目してみてください。