日本もいよいよ実施。世界金融情報交換、CRSとは

世界金融情報交換 CRS

日本もいよいよ実施。世界金融情報交換、CRSとは

今回は、金融機関ビジネスに影響を与える共通報告基準CRSについて解説をしていきます。日本も実施国であり、海外金融商品とかかわりが強い近年話題の事柄ですので、是非とも知っておいていただければと思います。

CRSをさだめるOECDとは

OECDとは、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)のことで、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関です。
OECDは1948年、第二次世界大戦後、ヨーロッパ経済の活性化と救済を目的とした欧州経済協力機構(OEEC)が設立されたのが始まりです。発足当時は、ヨーロッパ+アメリカ、カナダの20カ国でしたが、現在36カ国が加盟する国際機関になりました。
現在OECDは使命として、「世界中の人々の経済や社会福祉の向上に向けた政策を推進するために活動を行う」とし、各国政府が共通の問題について解決策を追求し、共有しています。(HP http://www.oecd.org/tokyo/about/ より抜粋)。
そのOECDが、発表したのが今回のテーマとなるCRSなのです。

CRSとは

CRSとは、OECDによって公表された、共通報告基準(Common Reporting Standard)のことで、各国が非居住者に係る記入口座情報を税務当局間で交換し合うというもの。この基準に従い、それぞれの国が自国の金融機関等から非居住者(つまり外国人など)の口座情報(氏名・住所、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等)を居住国の税務当局に対し情報を共有します。
つまり、このCRSにより、日本国内のみならず、該当する国の金融機関に預けている資産も、日本政府は把握できるようになった、ということです。

日本での実施の注意点

海外の金融口座や金融商品に、これまで縁のなかった人にとっては、あまり身近に感じないかもしれませんが、
例えば、実際に三井住友銀行ではHP(http://www.smbc.co.jp/houkaisei/crs.html)で以下のような案内が表示されています。
『CRSは、外国の金融機関に保有する口座を利用した国際的な租税回避を防止するために、経済協力開発機構(OECD)が策定した、金融口座情報を自動交換する制度です。
現在、日本を含む100以上の国・地域がCRSに参加し、参加各国に所在する金融機関は、管理する金融口座から税務上の非居住者を特定し、当該口座情報を自国の税務当局に報告する必要があります。報告された情報は、各国の税務当局間で相互に共有されます。CRSは、参加各国の国内法に組み込まれ、現地法令として適用されます。』

『日本においては、国税庁が「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(実特法)」を改正し、CRSを導入しました。2017年1月1日より施行され、弊行を含めまして日本の金融機関は、実特法に基づき、新たに口座開設等を行うお客さまの、税務上の居住地を記載した届出書のご提出をお願いさせて頂く場合がございます。お客さまの税務上の居住地に日本以外の居住地があり、その居住地が報告対象国である場合、お客様の口座情報等を年1回、弊行より国税庁に報告することが義務付けられております。』

ここで注意しなくてはいけないのが、もし海外に金融口座を持っていて、その金融口座がCRS実施国であった場合には、その情報も日本の国税庁に報告されるため、確定申告等ではきちんと報告しないと虚偽の報告とみなされてしまう恐れがあります

CRS制度導入の背景

社会のグローバル化するにつれて、当然、経済取引もグローバルに行われるようになりました。海外であることが理由で、日本からは入出金の記録がわかりづらい、かつ非課税や税金の低い国の海外金融口座を使用した、海外金融商品のキャピタルゲインの取得する方法などが世界中の富裕層を中心に利用されるようになりました。それにより、各国が妥当な税金の確保が難しくなったために、その対策として考えられたのがこのCRSです。

この制度導入に係る最初の同意は平成25年のG20の首脳会議で合意されました。これを受けてOECDは、非居住者の口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準、CRSを策定し、平成26年に公表、G20はそれを承認する流れとなりました。

CRS対象となる国

OECDのHP(https://www.oecd.org/tax/transparency/AEOI-commitments.pdf)より抜粋。

OECDのHPをわかりやすく羅列すると以下になります。

2017年情報交換開始国

アンギラ イタリア アルゼンチン ジャージー ベルギー 韓国 バーミューダ ラトビア
イギリス領バージン諸島 リヒテンシュタイン ブルガリア リトアニア ケイマン諸島
ルクセンブルク コロンビア マルタ クロアチア メキシコ キプロス モントセラト
チェコ共和国 オランダ デンマーク ノルウェー エストニア ポーランド
フェロー諸島 ポルトガル フィンランド ルーマニア フランス サンマリノ
ドイツ セイシェル ジブラルタル スロバキア共和国  ギリシャ スロベニア
ガーンジー島 南アフリカ ハンガリー スペイン アイスランド スウェーデン
インド タークス・カイコス諸島 アイルランド イギリス マン島

2018年開始国

アンドラ レバノン アンティグア・バーブーダ マカオ(中国)
アルバ マレーシア オーストラリア マーシャル諸島 オーストリア モーリシャス
アゼルバイジャン モナコ バハマ ナウル バーレーン ニュージーランド
バルバドス ニウエ ベリーズ パキスタン ブラジル パナマ
ブルネイ カタール カナダ ロシア チリ セントクリストファー・ネイビス
中国 セントルシア クック諸島 セントビンセント・グレナディーン
コスタリカ サモア キュラソー サウジアラビア ドミニカ シンガポール
ガーナ シントマールテン島  グリーンランド スイス  グレナダ トリニダード・トバゴ
香港(中国) トルコ  インドネシア  アラブ首長国連邦  イスラエル ウルグアイ
日本 バヌアツ  クウェート

2019年、20年開始国

アルバニア、モルディブ、ナイジェリア

アジアに注目してみると、現時点ではタイ、フィリピン、ベトナムなどは不参加となっています。
一方、日本を含め、中国、香港、マカオ、韓国、シンガポール、インドネシアなどは実施国として記載がありますね。カンボジアの記載はありませんが、2017年、OECDより、カンボジアが「税の透明性および税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム」に加盟したと発表され、CRSの導入を進めていくとみられています。

一方アメリカの記載はありませんが、実はいち早く金融口座情報の交換を求めたのはアメリカでした
FATCAという自国の法律である外国口座税務コンプライアンス法により、海外の金融機関に米国へ納税義務のある者の口座情報を共有するよう要請しています。このFATCAに対して、上記に名前のないベトナムやマレーシアも承認しています。

いかがでしたでしょうか。

かつてプライベートバンクとして注目されていたスイスも開始国となっており現在はCRS対象となる国となっています。
そこで現在注目しているのがタイ、フィリピン、ベトナムの3ヵ国であり、
中でも当サイトがご紹介しているオウンバンクがあるフィリピンが今一番注目されています。

OWNBANK オウンバンクの詳細はこちらから

OWN BANK(オウンバンク)は、フィリピンで1956年に設立し、60年以上続く歴史ある銀行です。長年にわたり住民から支持を集めてきました。OWN BANK(オウンバンク)ではUSドル、もしくは、フィリピンの通貨であるペソでの預金が可能です。日本にいながら口座開設が可能となっており、海外口座を国内から作ることができます。

現時点で、海外の金融口座を持っている方は該当されていないか確認してみてください。
また、海外銀行口座開設を検討中の方も同様に注意してみると良いと思います。
今後も実施国は増えていくと思われますので、ぜひ情報は継続的に得るようにしておきましょう。

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