近年、日本でも注目されるようになったプライベートバンク。とても高金利で質の高い印象から興味をそそられる方もいるはず。では、実際にプライベートバンクとはどういうものなのかを解説していきます。
プライベートバンクの定義
プライベートバンクとは、スイスをはじめとしたヨーロッパを起源とする銀行の形態です。かつての王族や貴族を含む超富裕層たちが、膨大な財産を私的に預け、管理・保護・運用させたことが始まりでした。組織規模としてはこぢんまりとしており、預ける財産を管理するために専属のプライベートバンカー(個人銀行家)が存在します。銀行としてはリスクがほぼない業務しか行わず、倒産リスクがほぼないことが特徴とされました。また、かつて王族や貴族、富裕層に好まれたのが「秘密性の高さ」でした。現在はCRSなどにより、世界中の金融機関で情報共有をせねばならなくなったことから、そういった意味での優位性は薄くなったと言えます。
重要!CRSについて
プライベートバンキングサービスで世界一位のスイスでは、プライベートバンクについて法的に明確にされており、「少なくとも1名は無限責任を有するプライベートバンカーがパートナーとして経営に参画している銀行」としています。現在、世界中に「プライベートバンク」は存在していますが、私たちが目にする範囲では、その本来の形態で運営されているものは少ないと言っていいでしょう。
日本のプライベートバンク
日本国内にも、スイス系のプライベートバンクが存在します。UBS、クレディ・スイスが参入、その後、ロンバー・オディエやジュリアス・ベアといった銀行が参入しており、富裕層の獲得に成功しています。
しかし、現在では、「プライベートバンク」はもう少し幅広い解釈でとらえられることが多くなりました。日本企業では、野村證券、をはじめとする証券会社や、各メガバンク、その他地方銀行でもプライベートバンク事業に乗り出しています。「こぢんまり」という印象はもうないですね。また、もともとの「プライベートバンク」は「プライベートバンカー(個人銀行家)」が経営し、富裕層の資産を管理するというもの。日本の銀行の場合、担当につくのは各金融機関に雇用されている銀行員や証券員なので、退職や異動により担当がかわることもしばしばあります。また、日本国内では「プライベートバンク」を商品として積極的に営業をすることも多く、希少でラグジュアリーなイメージを失いつつあり、近年のプライベートバンクは、かつての意味合いとはだいぶ変わってきていることがわかります。
プライベートバンクの特徴
プライベートバンクならではの特徴を以下にまとめてみました。
①あらゆる資産を一括管理
プライベートバンクは、すべての金融財産(不動産や債券、株式、金など)を一括管理し、運用します。あらかじめ決める運営方針に従って口座を管理してくれるので膨大な財産を保有する富裕層にとってはとても便利なサービスであり、プライベートバンクの最大のメリットといえるかもしれません。
②預ける最低金額が1億円以上
預ける金額は、日本円で約1億円程度が最低ボーダーになることが多いです。海外の銀行であれば100万ドルが基準になります。また、後述にある高い手数料がかかることから、実際のところは100万ドルではさほど価値がなく、300万ドル以上を預けないとプライベートバンクならではのメリットはないとされています。管理にはかなりの手間もかかるので、銀行側としてもむやみに顧客を増やすのではなく、できるだけ大きな額を預けてくれる顧客を増やしたいという狙いもあるかもしれません。
③コストが高い
プライベートバンクの特徴の一つといえるのが、高い管理費用です。管理費には2種類あり、「アセットメンテナンス・フィー」と「アセットマネジメント・フィー」とがあります。前者は1年間で数万円程度、後者は預けた資産の1.5%程度になります。1億円預けていたとして、手数料がその1.5%なので、150万円という計算になります。3億円預ければ450万円ですね。
実際には、利用するサービスやオプションによりかかるコストは違い、カスタマイズしている場合が多いようです。
海外のプライベートバンクのメリット
日本の金融機関でもプライベートバンクは利用できますが、海外のプライベートバンクを利用するメリットもあります。
リスク分散
プライベートバンクに限ることではないですが、海外の金融機関に預けるということは、日本そのものがもつリスクを回避することになります。日本国内の金融機関は当然、日本の政治、経済、ときには天災や紛争などによって状況は左右します。何もないことを願いますが、海外の金融機関を利用するということは、万が一の時のためのリスク分散になるのです。
多様な運用方法
海外のプライベートバンクは、世界中の富裕層が利用しているので、グローバルに金融商品に精通しています。
日本の銀行では取り扱いのない商品も当然あり、様々な組み合わせを取り入れて運用することで、より質の高いサービスの提供を可能にしています。
運用実績について
運用実績について、驚くほどに利回りが良いかというとそういうわけではありません。例えば、1年置いておいたら倍になるとか、そういうものではないです。基本的には、リスクの低い金融商品で運用し、年利5~15%くらいの水準。とはいえ日本の一般的な銀行に預けておくよりはるかに良いです利回りなので、利用したいと思う方も多いでしょう。また、この運用についても利用者によってカスタマイズされていて、もう少し高い利回りを求める場合には、少しリスクの高い商品で運用するといった試みも可能です。
プライベートバンクに預ける必要性
すべての金融資産を透明化し、かつ、安定的に運用できる、という面でのメリットはありますが、正直なところ、数百万円かかる年間コストが、どうってことないと思えるくらいの資産家でないと利用するメリットはないと言えます。あらゆる資産を保持していて、管理が面倒くさい、その管理のためだけに、個人で年間1名以上の管理者を雇うのと同じくらいのコストです。
運用面でのメリットはもちろんありますが、同じ水準で運用できる方法は他にもあります。日本の投資信託でも無理な数字ではないですし、海外の金融商品ともなれば、もっと高い利回りのものも存在します。よって、よほどの資産家でないかぎりは、あえてプライベートバンクを選ぶ必要はないと言えます。
以上、プライベートバンクについての解説でした。いかがでしたでしょうか。「プライベートバンク」と聞くととても高い利回りや、ラグジュアリーで質の高い印象を受けますが、誰にとってもメリットの高いものではありません。なかなか数百万円の管理費用をかけてまで預けておいてまで、管理したい資産を持っている人はいないと思います。それであれば、目的にあわせて預けておく方法を考えるべきでしょう。
・海外の金融機関を利用することによるリスクヘッジ
・基軸通貨を保有することによる、日本円に依存しないリスク分散
・年間15%近い利回り(預ける金額による)
どれも、フィリピン政府公式認定のオウンバンクの定期預金で実現することが可能です。最低預金金額も日本円にして約55万円、とかなり低額から預けられるようになっていて1億円なんて高額は不要です。是非参考にしてみてください。